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第1章 評価調査の概要



1.2 調査の方針と方法

本調査では、過去の我が国の対バングラデシュ援助を総合的かつ包括的に評価するものとし、マクロ的な観点から可能な限り定量的に測定、分析、評価を行うこととした。また、我が国ODAの円滑な実施に資するよう、国別援助計画の実施にあたっての留意事項の整理および援助戦略の体系化、モニタリングの手法、パフォーマンス指標抽出についての情報収集や分析を行い、提言を得ることとした。

本評価調査の基本方針は以下の通りである。

(1)評価レベルと視点

各重点分野別の個別案件評価は原則として行わない。これは、JICAが国別事業評価を99年度に実施しており、その成果を活用できるためである。また、円借款についてもJBICが約20案件の個別案件評価を終了しておりその結果も利用できる。従って、本調査では、これらの既往個別案件評価結果を重点分野別に整理、分析し総合的に評価することとした。

国別評価の視点としては、DAC評価原則によれば、妥当性、実施効率性、目標達成度、効果/インパクト、自立発展性の5つをあげている。本調査では、援助計画の重点分野毎に、主に妥当性、効果やインパクト、並びに効果の持続性の観点より我が国の既往支援内容を包括的に評価を行っている。実施の効率性と目標達成度(成果:アウトプット)については個別事業レベルの評価で重視されるが、本調査におけるバングラデシュ国全体およびセクター・レベルの評価ではその必要性が薄いものと考えられる。

(2)評価方法

本調査では評価のアプローチとして2つの方法を採用した。1つは従来型のプログラム評価アプローチ(帰納的ボトムアップ・アプローチ)、もう1つは政策評価アプローチ(演繹的トップダウン・アプローチ)である。

まず、プログラム評価では、国別援助計画から形成された重点分野別の援助活動からどのような援助成果が得られたかを検討する。その際、我が国援助実施機関が実施した個別案件評価の結果を活用する。プログラム評価では、ボトムアップにより効果を検証するものでその結果「Result」が得られる。

しかし、上記の方法では相手国の上位開発目標の達成に我が国の支援がいかに貢献したか、「Contribution」を検証することは困難である。このため、トップダウンのアプローチ、即ち、政策評価アプローチが必要となる。

トップダウン・アプローチは成果主義の評価手法として、その確立が求められている。この手法では、被援助国の上位開発目標を定義しその目標達成に向けた手段を体系化する(開発課題体系図)。次に業績指標を割り当て、達成状況から判断して、援助内容は妥当であったか、いかなる介入手段が有効か、実施上の課題はあったかなどについて整理分析する。

これに、マクロ経済的なインパクト分析と内外の援助関係者や有識者より幅広く聴取した我が国援助に対する意見/要望を加味して、重点分野別および包括的な観点から今後の取組み方策を示した教訓と提言を抽出する。なお、プログラム評価については、個別案件評価の結果を基に援助成果の確認だけに留めている。

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